受賞組織の概要(日本経営品質賞県内受賞組織含む)
2012年度 岩手県経営品質賞

2013年4月8日岩手県経営品質賞選考委員会が開催され、次のとおり決定しました。

「岩手県商工会議所連合会会長賞」 大規模部門
株式会社 中原商店

<表彰理由>

株式会社中原商店(ぴょんぴょん舎)は「自然由来の安心安全、美味しい料理、楽しい空間、笑顔あふれる食の団欒」を提供するという考えのもと、盛岡を中心とした東北商圏へ店舗を出店し事業を展開していました。2008年には銀座に直営店をオープンさせ、2010年にはららぽーと新三郷のフードコートに出店するなど、東京を中心とした東京商圏への出店と、フードコートに出店するフードコート商圏への出店を図っています。また冷麺やマッコリを物販・通販を通して提供する、全国商圏への物販・通販事業の拡大を図っています。現在の売上比率から、中原商店(ぴょんぴょん舎)は東北商圏に密着して成長を図る企業から、東京商圏・フードコート商圏並びに全国商圏へビジネスを展開する企業として成長を遂げていることが認められます。

審査を通して認められた主な評価点は次のとおりです。

●個性ある店づくりを実現するための仕組みの構築

個性ある店づくりのため、まず、米・野菜・肉などの生産者と価値観を共有し、米やサンチュ、盛岡短角牛といった原材料の共同開発を行っています。このことが、御社のミッションにある「美味しい料理」に多大な影響を及ぼしています。  更に開発した商品に関しては、設計品質どおりに商品が店舗で提供できているかをミステリーショッパー制度によって確認し、改善点をレシピやオペレーションの改善に活かしています。 このようにビジネスパートナーと連携して顧客への提供価値を高めるための組織体制や、ミステリーショッパー制度を活用し商品の品質を改善する仕組みを構築していることが、東京商圏での差別化要因となる個性ある店づくりに大きく寄与していることが認められます。

●社員同士の思考と対話を重視した社員参画型組織の実現に向けた取り組み

店舗運営に関する話し合いの機会を意図的に作り、対話を重視した参画型組織の実現に向けた革新が進んでいます。  具体的には、店長や厨房責任者が、運営責任者会議(店長会議・厨房責任者会議)において、店舗での成功事例や失敗事例を共有し、そこから、調理や接客サービス、メニュー開発に関する課題の抽出や対策の検討が行われています。このことから各店舗の情報が店長や厨房責任者に伝わり、レビューし、対策を話し合えるような、組織体制を構築していることが伺えます。 更に店長会議が経営トップを中心に進められていたことが、現在は店長が議題を決め、話し合いの 進行も担当するなど、店長中心の店長会議へと変化しています。このように積極的に自分の役割を認識し、自律的に行動する店長が増えてきていることから、これまでの取り組みが社員参画型組織の実現に向けて効果を発揮していることが認められます。

●価値観を浸透させ従業員の感受性を高めるための場づくり

店舗開発コンセプトやミッションについて話し合うことにより、価値観を浸透させ、従業員の感受性を高める場づくりが展開されています。 具体的には、経営トップが経営幹部や店長との対話の中で「異文化融合」の意図や、商品開発及び 店舗開発のコンセプトを詳しく伝えることが、経営幹部や店長の感受性を高める場になっています。 このような場づくりを展開した結果、店長が新しく採用したパートスタッフやアルバイトスタッフ に対して、会社や店舗の説明をします。その時に、店長や人材育成担当者が掲げている絵画の作者を紹介したり、「異文化との融合」といった言葉を頻繁に使うなど、ミッションやコンセプトを説明している事例を確認しました。このことから、感受性を高めるための場づくりをすることで、店長クラスが価値観を理解し、そこからパート・アルバイトまで価値観の浸透を図り、従業員の感受性を高めることに結びついていることが認められます。

平成25年4月8日
岩手県経営品質賞選考委員会
委員長 岡本正耿

2009年度 岩手県経営品質賞

2010年2月17日、岩手県経営品質賞選考委員会が開催され、岩手環境保全株式会社 ビルメンテナンス事業部(中小規模部門)が岩手県商工会議所連合会会長賞に、また、株式会社アート不動産(中小規模部門)が審査員特別賞に決定しました。

「岩手県商工会議所連合会会長賞」  中小規模部門
岩手環境保全株式会社ビルメンテナンス事業部

<表彰理由>

岩手環境保全鰍ヘ、1983年に花巻市の要請により市が雇用していた施設管理や清掃職員などの受け入れ先として設立され、市の保有施設の管理委託業務委託先として清掃業務や常駐警備業務などの事業を開始しました。しかしバブル崩壊による影響が及び始めた1996年、WTOにより発行された政府調達に関する協定により一般競争入札が開始され、経営環境は悪化していきました。

現社長が現場訪問した際「清掃は目立ってはいけない」「子供が学校でいじめにあうので、清掃の仕事を息子に隠しています」と語る清掃スタッフの言葉に驚かされました。そして「現場スタッフが自分の家族や友人に自慢のできる会社を作りたい」「サービス業として誇れる会社を目指したい」との思いが芽生えたことが根底となり、2002年に社長に就任後、改革への布石を打ち始めました。

昨今の不景気の中、特に地方には、地域全体に先行きの見えない暗いムードが漂っています。この企業が県内の民間企業として初の日本経営品質賞を目指し、さらに高いレベルに向かっていくことで、岩手県地域の他の企業のみならず、地方の中小企業にも良い影響を与えていくものと期待しています。

審査を通して認められた主な評価点は次のとおりです。

●リーダーシップ発揮の仕組みとその徹底の仕組み

まず1つ目の強みは、「従業員が自らの仕事に誇りを持ち、社内で自由闊達にコミュニケーションが図られている組織風土を醸成した経営トップのリーダーシップ」です。現経営トップは社長就任後、会社が大切にする価値を、Vision(目標)、Mission(存在意義)、Strategy(方法論)、従業員への約束、として明文化し従業員に示しました。そして社内掲示や朝礼、社内報やホームページを活用して社内外に周知徹底しています。また従業員満足が最も大切であるという考えのもと、清掃スタッフの声を吸い上げる「すまいるコール」の仕組みや清掃スタッフやマネージャーと経営トップが意見交換する場を作っています。本部では朝礼の工夫、「さん」づけ呼称、事務所のフリーアドレスなど様々な工夫を行い、良好なコミュニケーションが行えるようになっており、社内には自由闊達な組織風土が醸成されています。

●現場スタッフの絶え間ない顧客満足向上の取り組み

2つ目は、「清掃業はサービス業であり、ビルの利用者もお客様であるという会社の認識をよく理解し、お客様に高い価値のサービスを提供している清掃スタッフ」です。同社では、お客様に提供する価値は清潔で安全なビル環境というだけでなく、お客様の事業成功に貢献できるサービスであるとし、現場の清掃スタッフは、お客様に価値を提供するために接客のプロでもなければならないということを理解しています。そしてビルの所有者や管理者だけでなくビルの利用者もお客様であるという考えの下、ビル内の人々に笑顔で接するとともにお客様の要望に応えています。

●本社スタッフによる社員参加型の経営スタイル

3つ目は、「多くの清掃現場をスタッフが一体となって有効的に支援する本社体制」です。ビル清掃業は清掃現場が本社と離れていてしかも多くの現場が各地に散らばっているという特徴があり、現場と本社の関係を良好に保ち、お客様に直接価値を提供している現場を本社が有効的かつ効率的に支援することが重要となります。本社スタッフには会社の哲学に共感することができ、自らの成長を喜びに感じられる人を採用し、さらに入社後、常に能力を向上させる仕組みを持っています。また携帯メールやNotesの導入など円滑なコミュニケーションと情報共有のための設備投資をすることはもちろん、一人一人の役割を明確に定め、部門間でお互いに助け合う風土を作り、現場を有効的に支援する体制を構築しています。

平成22年2月17日
岩手県経営品質賞選考委員会
委員長 岡本 正耿

「審査員特別賞」  中小規模部門
株式会社 アート不動産

<表彰理由>

株式会社アート不動産は、「不動産業界を変革したい」という考えのもと、単なる仲介手数料を稼ぐ不動産事業ではなく、お客さまに付加価値を提供することを重要視しています。社長は創業社長でこれまでトップダウンで経営を続けてきましたが、経営品質プログラムと出会い、経営品質の考え方に基づき、自社の経営革新を進めていこうとしています。現在は社長が個人的に勉強している段階ですが、今後経営品質を社内の共通の考え方として、社員も巻き込みながら対話を行うことで、経営革新を行い、更なるレベルアップが期待できると判断します。

審査を通して認められた主な評価点は次のとおりです。

●地域密着型で不動産事業を展開し、地域とのコミュニケーションに積極的に取り組んでいる

地域のお客さまを理解するために、来店者に対しては「ご来店カード」、家主に対しては「家主打ち合わせ報告書」によりニーズの把握に努めています。また、エリア調査を実施し、事業対象地域の全物件の調査に着手しています。これは同業他社では行われていない独自の取り組みであり、地域密着型の不動産事業を展開するうえでたいへん貴重な市場情報が収集されています。

一方、リピーターが少ないという不動産事業の特性から、ホームページ、テレビCM、フリーペーパー、看板など、多様な手段によりお客さまの来店を促進しています。来店したお客さまに対しては、提案力が重要であることから、ロールプレイングを実施し、提案力の強化を図り、お役立ち商品も含め、積極的な提案活動を行っています。入居後も設備の不具合状況を積極的に把握するために、「入居者アンケート」を実施したり、ラッキーコールに24時間体制で対応するなど、きめ細かい対応を行っています。このようなお客さまの視点にたった地道な取り組みが奏効し、事業対象地域における賃貸仲介件数・管理件数はトップシェアを維持し、24期連続で黒字経営を継続しています。

●賃貸物件の家主を重要なお客様と位置づけ、家主とのコミュニケーションを強化している

約800名の家主に対してヒアリングを行い、オーナー会を開催することで家主のニーズを把握するとともに、「ご来店カード」の情報をはじめ、接客時に得られる入居者のニーズ情報から地域のニーズに合ったリフォームを推奨し、物件価値を高めるための提案を行っています。また、独自に「AKシステム」を構築し、自社の管理物件の情報を信頼できる同業他社に提供しています。これらの取り組みにより、管理物件の入居率は、事業対象地域における平均が80%を下回っているなか、85%以上を維持しています。

●不動産業界の最先端の情報収集に非常に意欲的に取り組まれ、これが新たな価値の創造に繋がっている。

不動産のフランチャイズチェーンが登場したとき、事業対象地域においていち早くアパマンショップホールディングスに加盟しました。また、全国賃貸管理ビジネス協会にも加盟し、ここでの情報収集を非常に重要視しています。住生活に密接に関係するお役立ち商品は全国賃貸管理ビジネス協会で企画・開発され、地域に合った形にカスタマイズし、提供することで、同業他社との差別化を図っています。また、新たに参入した適合高齢者専用賃貸住宅事業のきっかけも全国賃貸管理ビジネス協会です。これらのネットワークを通じて得られた情報を有効に活用し、ニュービジネスを展開することで新たな価値を創造してきた結果、事業対象地域において不動産需要が減少するなか、売上高が3期連続増加しています。

平成22年2月17日
岩手県経営品質賞選考委員会
委員長 岡本 正耿

2008年度 岩手県経営品質賞

2009年2月13日、岩手県経営品質賞選考委員会が開催され、ソニーイーエムシーエス株式会社千厩テックが岩手県知事賞(大規模部門)の受賞が決定しました。

岩手県知事賞の受賞は、2005年度にそれまでの「最優秀賞」から名称変更したもので、変更後、初めての受賞となります。

「岩手県知事賞」 大規模部門
ソニーイーエムシーエス株式会社 千厩テック

<表彰理由>

ソニーイーエムシーエス株式会社千厩テックは、ソニーグループの中で無線通信技術を中心としたビジネスに特化し「業界品質No.1」を目指して活動を行っている。1968年に岩手東洋電子(株)として設立されて以来、小型ラジオ、カーステレオ、携帯電話、非接触ICカードリーダー/ライターなどソニーを代表する商品を提供してきた。世の中の変化に対応して自社の独自能力である通信技術を活用し、新しい事業領域への取り組みを行っている。

2年前、従来からの高周波無線通信技術や、超高密度実装技術などコアコンピタンスを活用した製品開発事業や生産事業に加え、今までの通信機器の製造で養ってきた解析・評価技術を活用した携帯電話のカスタマーサービス事業が主な事業となった。

この新しい事業領域に積極的に対応するため、従来からの製品品質重視の経営に加えて、顧客視点と社員重視の経営を強化することにより、ここ2年間で大きく組織強化が図られてきた。この業態変化に不安な多くの社員に「千厩っていいよね!」というスローガンとともに、その実現のための明確な方向性が示された。経営トップは、この考えを伝えるために積極的なコミュニケーションを行い、この考えを共有してきた。その結果、社員に安心感と自信が芽生えた。また、言葉だけではなく、「千厩っていいよね!」を部門や部署に置き換えて、「〜部っていいよね!」を実現するために、自分たちの「お客さんは誰か」「そのニーズは何か」「自分たちは何をすべきか」をすべての部門・部署が考え活動するように仕組み作りを行ってきた。また、この活動の進捗を確認するための新たな仕組みを構築した。その結果、社員は、各々、自分にとっての「千厩っていいよね!」とは何かを考え自分の役割を理解し、自主的に考えて活動する「学習する組織」となった。

「千厩っていいよね!」により培われた顧客の視点と、社員の自分たちの技術と仕事への自信を基に、従来からの高周波無線通信技術や超高密度実装技術などコアコンピタンスを活用した新規事業の開拓や生産部門での「からくり治具」など、不良流出防止機能などの設備・治工具導入での高品質な製品の製作による新規事業の獲得など、自社の独自性を強化、活用してグループ外への価値提供も推進している。さらに新たな事業であるカスタマーサービス事業では、今までの通信機器の製造で養ってきた解析・評価技術を活用して、迅速に修理対応できる仕組みを構築すると同時に、他社にない徹底した顧客視点の考え方で事業を展開し、高い顧客価値を提供し、お客様から喜ばれることを楽しみに仕事をしている。

これら活動の結果として、顧客であるソニー株式会社、及びソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社及びユーザーからもより高い評価を得ている。競争のはげしく変動の大きい製品製造に加えカスタマーサービス事業に取り組んだことにより、さらに安定した事業活動ができる体制となった。このように、通信分野での独自能力に加え、「顧客の視点」、「社員の視点」から仕事の進め方を徹底し、顧客から満足されていることが評価された。

平成21年2月13日
岩手県経営品質賞選考委員会
委員長 岡本 正耿

2007年度 岩手県経営品質賞

2008年2月22日、岩手県経営品質賞選考委員会が開催され、株式会社 藤村商会(中小規模部門)、岩手環境保全株式会社 ビルメンテナンス事業部(中小規模部門)にそれぞれ岩手県商工会議所連合会会長賞を受賞することが決定されました。

「岩手県商工会議所連合会会長賞」 中小規模部門
株式会社 藤村商会

<表彰理由>

株式会社藤村商会は、自社の主要顧客を地場の上下水道工事施設業者に絞込み、その顧客ニーズである「必要な時に必要な商品を必要なだけ提供してもらいたい」ということに着目し、それを顧客に価値提供することを経営理念に掲げて、全社員に経営理念を徹底して企業活動を行っている。

掲げた経営理念を具現化するためにロジスティックシステムを自社のコアコンピタンスであると明確に定義にして、ロジスティックプロセスを継続した改善活動によって磨き上げた結果、業界の競合他社ばかりでなく、他業界からもベンチマーキング対象になるまでに進歩させ、主要顧客である岩手県地場の上下水道工事施設会社にとってなくてはならない企業となっている。

審査を通して認められた主な評価点は次のとおりである。

●経営トップの強い信念に基づいたリーダーシップとそのフィロソフィーが浸透した自律的に動ける組織能力

経営トップが「雇用と会社の継続」「組織論としての家族的なチームワーク」「流通業に徹する」という信念を持ってリーダーシップを発揮しており、信念の基盤である78項目からなるFCフィロソフィーをあらゆる機会に繰り返し社員に説くことでFCフィロソフィーが社員に浸透している。

そして、それが社員一人ひとりの行動規範となって顧客との商談、顧客からのクレームや災害などの非常事態に社員が自律的かつ迅速に動ける組織風土に醸成されている。

また、社員一人ひとりが経営トップに対して深い親密感と信頼感を抱いており、組織全体の非常に家族的な一体感が醸成されていることは公共事業が縮小し続ける厳しい市場環境に打ち勝っていく上で強みであると評価できる。

●主要顧客のニーズ理解に基づいた経営理念(顧客提供価値)の明確化とそれを具現化する優れたロジスティックシステム

経営トップは自社の主要顧客である上下水道工事店の工事業務の実情を長年にわたってじっくりと観察することによって、自社の顧客が最も重要と考えていることは「必要なものを必要なときに必要なだけ提供してもらいたい」という顧客ニーズであると理解している。

その顧客ニーズに基づいて「必要なものを必要なときに必要なだけお届けする」という経営理念を実現するために、継続して顧客要望を聞きながらコアコンピタンスと定めたロジスティックシステムを中心とする基幹プロセスを磨き続けてきており、それらの蓄積により他社と差別化された優れたロジスティックシステムを完成させている。

●磨きあげたロジスティックシステムを最大限に機能させることができるビジネスパートナーとの強い信頼関係

50年近い社歴の中で幾度となく苦しい時期をいっしょになってくぐりぬけてきたビジネスパートナーとの強い信頼関係が構築されている。

特にシステム開発会社、運送会社、FC会参加の仕入先やメーカーなどの重要なビジネスパートナーとは、藤村商会の経営理念、事業領域、顧客ニーズ、経営計画などを共有する関係を構築しており、コアコンピタンスであるロジスティックシステムを最大に機能させることができている。

平成20年2月22日
岩手県経営品質賞選考委員会
委員長 岡本 正耿

「岩手県商工会議所連合会会長賞」 中小規模部門
岩手環境保全株式会社 ビルメンテナンス事業部

<表彰理由>

岩手環境保全株式会社は、価格競争が激しいビルメンテナンス業界において、価格競争には積極的に参入せず、独自の価値基準を定め、価値前提の考え方に基づき、事業活動を展開し、経営革新に取り組んでいる。「お客様に喜んでいただける会社を目指す」という経営哲学を具現化するために、お客様の個別ニーズに対応したパーソナルサービスを展開し、「接客対応・環境・費用対効果・安全」という独自の価値を提供している。また、お客様との接点が最も多く、大半がパート社員である現場スタッフに対して、組織の価値基準を浸透させ、動機づけ、能力向上を図りながら、清掃品質、接客力の向上を図っており、経営品質の4つの基本理念に基づき、全社的に経営革新に取り組み、成果をあげていることが確認された。

審査を通して認められた主な評価点は次のとおりである。

●お客様の個別ニーズに対応したパーソナルサービスの展開

サービスの設計では、契約書や作業仕様書に記載されていないお客様の個別ニーズを確認するために、確認事項を明確に定め、文書で共有することで認識が異ならないよう工夫がなされている。また、お客様のニーズの把握力を高めるために、ロールプレイングを実施するほか、お客様との面談のやり取りをグループウエアの営業日報に入力し、ナレッジを共有している。日常の清掃業務では、ブルーカード、イエローカード、ミステリーショッパー、お客様満足度調査アンケートなど、多様なリスニングポストを設けて積極的にお客様の声を収集し、お客様の個別ニーズに対応したパーソナルサービスが展開されている。

●現場スタッフの清掃品質・接客力の向上と動機づけによるエンパワメントの促進

現場スタッフの採用はパートであるにもかかわらず、組織の価値基準に合致する人材のみを採用している。採用後は、現場スタッフが積極的に業務に取り組めるよう、現場スタッフが失敗しても責任を問わないことを明言している。また、すまいる新聞やスマイルコールなどにより本社と現場のリレーションを強化し、現場スタッフに対してプレミアムカードを発行するなど、表彰制度を取り入れることでやる気を高めている。さらに、現場スタッフの成功事例を共有し、清掃技術の向上を図るほか、CS向上研修、お客様満足度向上委員会で接客力の向上を図ることでエンパワメントを促進している。

●SSS、カーペットクリーニングシステムの導入による清掃品質の向上と環境保全への貢献

清掃業務の品質のコアとなる床清掃では、スマ−ト・セ−ビング・システム(SSS)の独自技術の導入により、光沢品質の高いレベルが提供されている。また、カ−ペットクリ−ニングシステムは、世界基準であるIICRCの認定を取得し、知識と技術を習得した専門のカ−ペットソムリエがカ−ペットの素材や状態を見極め、最適な方法を提案している。これらのシステムの導入により、コスト削減、清掃品質の向上、環境保全対応、スタッフのモチベーションの向上を実現しており、競争優位性を確保している。特に、環境保全の観点では、汚水を持ち帰り、中和・稀釈して処理しているほか、カーペットの寿命を大幅に伸ばしており、産業廃棄物の量を大幅に削減することに貢献している。

平成20年2月22日
岩手県経営品質賞選考委員会
委員長 岡本 正耿

2006年度 日本経営品質賞
地方自治体部門
滝沢村役場 地方自治体で初の受賞

日本経営品質賞委員会は11月2日、2006年度の「日本経営品質賞」受賞企業として、「福井キャノン事務機」(中小規模部門)、「滝沢村役場」(地方自治体部門)の2組織を決定した。地方自治体部門での受賞は初めて。大規模部門の受賞組織はありませんでした。
2組織の表彰理由について、寺本義也・日本経営品質賞判定委員会委員長(早稲田大学大学院教授)は、「2つの組織の共通点は顧客価値経営を徹底的に実践している点だ」と評価。

滝沢村役場については「『行政の市民化・村民化』の取り組みが特徴的だ。住民が主役で、村役場はサポーターに徹するなど、今までにない新しい自治体の取り組みだ」と指摘、「顧客価値経営を自治体という立場で真剣に取り組み、成果を着実に上げており、これからの自治体のモデルのひとつとして高く評価した」とコメントしました。

日本経営品質賞の表彰式は12月1日にロイヤルパークホテル(東京・中央区)で開催されます。

※ 「表彰理由」等は別途掲載いたします。また、「日本経営品質賞」のホームページから表彰組織発表の記者会見の模様や「表彰理由」が閲覧できます。

<表彰理由>

滝沢村役場は、厳しい環境下にある地方自治体にあって、「行政は経営である」という基本認識のもと、自らを行政主体から住民・コミュニティ主体という新しい自治への変革を推進するエンジンの役割と位置づけている。これを実現するために、お役所仕事、縦割り行政といわれる自治体固有の風土・文化の打破をめざした長年にわたるトップ主導の徹底した組織風土改革によって、職員一人ひとりの意識や思考が変わり、住民への価値提供のための部門間・職員間の強い連携がはかられ、職員中心の組織風土づくりに結実している。さらに、徹底した住民との話し合いを通じて住民協働による事業を展開するなど、住民・コミュニティ主体の自治への変革にむけた独自の活動が着実な成果をあげていることが高く評価された。

●住民視点による独自性のある効果的な事業への見直しと実践

年々財政規模が縮小する中で、限られた資源を活かし最大限の事業効果を発揮するために、住民と協働して策定された総合計画にもとづき、「既存事業の見直し」と「滝沢村に新しい価値をもたらす事業の創造」とをリンクさせ、全体最適の視点で効果の高い事業への見直しを実践している。

●戦略思考による業務プロセスの革新と進化

これまでの「総合計画とリンクさせた予算編成プロセス」から「重点方針に基づく優先順位づけによる新予算編成プロセス」への進化や、現場での意思決定に対応できる柔軟な予算再配分措置など、戦略思考をもったプロセス革新が実行されている。また、住民協働に向けた「自立した住民」の育成プロセスは各部門の共通課題として取り組まれ組織を挙げて各プロセスで成果をあげている。

●住民視点、効果・効率的視点重視の意識・行動改革

「理想に向けた原理原則」で自ら考え行動するという村長の考え方の徹底により、「住民との協働による幸せ地域社会」の実現に必要な「聴く」姿勢やコミュニケーションが重視され、結果として、職員一人ひとりの意識や思考が変わり、日々の業務が住民視点、効果・効率の視点で進められている。

●理想の姿の共有による、縦割り意識・文化を打破した部門間連携の強い組織の実現

自治体固有の根強い縦割り意識・文化にあって、毎朝の各部の部長が顔を合わせるミーティングによりスピードある意思決定を実現している。また、組織のフラット化(※1)により階層構造を打破し、現場職員の責任感を醸成している。これらを通じて、「住民との協働による幸せ地域社会」という理想の姿を共有した各職員が、住民への価値提供のために部門を超えて仕事を理解し、お互いを尊重し、強い部門間連携が組織全体で図られている。

※1組織のフラット化 :  平成11年度には係制を廃止、平成14年度には課長補佐制を廃止、平成15年度には収入役を廃止したことによる組織機構改革であり、現在は主に部長、課長、一般職員という機構になっている。
2006年度 岩手県経営品質賞

2007年2月13日、岩手県経営品質賞委員会(委員長 阿部健岩手県商工労働観光部長)が開催され、ソニーイーエムシーエス株式会社千厩テック(大規模部門)、久慈琥珀株式会社(中小規模部門)にそれぞれ岩手県商工会議所連合会会長賞を受賞することが決定されました。
同日、盛岡商工会議所で記者会見をし、阿部委員長が受賞組織の発表と説明をしました。

「岩手県商工会議所連合会会長賞」 大規模部門
ソニーイーエムシーエス株式会社千厩テック

<表彰理由>

ソニーイーエムシーエス株式会社千厩テックは、無線通信技術をコアテクノロジーとし、ソニーの自由闊達な文化の導入と醸成、コアコンピタンスである「モノづくり」トップ企業としての実力を高めてきた。

2006年10月本社発表の「製造拠点からサービス拠点への業態変更」に対して、「ソニー千厩テック」の存在感を内外に強くアピールし、顧客本位の施策を打ち出すと同時に、ソニー文化である自由闊達な社風に裏打ちされた現場の活力と、ソニーシックスシグマ(SSS)手法、及び生産革新手法による「モノづくり」の観点から乗り切ろうと、モノづくりとサービスの共存により、事実上のEMCSを目指し、歩を進めていると認められる。

審査を通して認められた主な評価点は次のとおりである。

●千厩テックの業態変更に向けた、経営トップのリーダーシップ

千厩テックの経営トップは、テックとして健全な存続のために改革を決断するにあたり、携帯電話生産の代わりに、従来からコアテクノロジーとして内外に誇ってきた無線通信技術を核とした商品開発を本社、及び関係部門に働きかけるなどのトップアプローチとともに、生産付加価値を保つことで雇用を継続している。同時に従来から続けている社員との対話、さまざまな会議等で業態変更後の生き残りを説き、将来展望に向けた強いリーダーシップが見られる。

●ソニーシックスシグマ(SSS)方式を駆使した顧客価値向上・社内改善・教育活動

社内の隅々までソニーシックスシグマ(SSS)方式による改善活動が浸透しており、従来から継続されてきた開発や生産活動においてはもちろんのこと、アフターサービス品質の向上に向けた顧客ニーズ分析、円満終話率など多様な情報収集・分析と、評価・改善をSSS方式をベースとして展開している。全体としては人事システムのミッションバリューシート(MVシート)と連携し、社内業務改善・改革をテーマとした活動を通じて社員の教育が行われ、テック全体の顧客価値向上と効率向上・人材開発が図られている。

●地域社会の発展に向けた貢献活動を掲げ、地域との融和活動を積極的に推進

経営理念を「千厩って いいよね!」と内外から認められることとし、地域社会との共存及び地域に貢献することに力を注いでいる。理念のもと、障害者の雇用や近隣の清掃奉仕活動などを続けており、千厩・一関地域から高い評価を得ている。また、経営品質に関する講演会を開催し地域住民を無料で招待し、経営品質に関する考え方を地域と共有している。また社会見学や工業会からの見学は積極的に受け入れるなど、地域との融和活動をテックを挙げて継続して行っている。

2007年2月13日
岩手県経営品質賞委員会
委員長 阿部 健

「岩手県商工会議所連合会会長賞」 中小規模部門
久慈琥珀株式会社

<表彰理由>

久慈琥珀株式会社は開発・製造・販売・博物館事業の総合琥珀会社であり、「世界の琥珀の本場となる」を10年後の経営ビジョンとして制定し、順調な発展を続けている。

久慈琥珀株式会社を真に社員と地元のための企業に育てようとの現社長の強い信念のもと、役員の入れ替えと資本・支配関係の適正化、社員持ち株会の株式購入による発言力強化などを行い、同時に組織の強化に向けて経営品質向上活動に取り組み、2005年度、岩手県経営品質賞「審査員特別賞」を受賞された。その後、さらに顧客対応プロセスを大幅に改善するなど、社員と地元のための企業としての基盤を整備しつつある段階にあると認められる。

今回の審査で高く評価された点は以下の通りである。

●『社員と地域のための会社』に作り変えようとする経営トップの強いリーダーシップ

会社創業時の母体企業であり現在も兄弟会社として琥珀事業の一翼を担っているグループ企業からの完全な独立を、「会社は地元のもの」「社員を守る」との強い信念から自らの社長就任と同時に方向性として打ち出し、グループ企業の役員の交代、財務・株式に強い社外人材の役員登用、組織改革のための若手抜擢、社員持ち株会による自社株式の購入と発言力強化など、独立企業としての体裁を矢継ぎ早に整え、社内の組織やプロセスを見直し利益確保を積極的に行って財務状況を好転させ、会社を作り変えるため強いリーダーシップを発揮している。

●全社員が会社を強くするため顧客本位・顧客対応プロセスの改善に取り組んでいる

全社員・各地区派遣社員リーダーが参画するCVC活動(顧客価値創造活動プロジェクトチーム)を立ち上げ、顧客からの苦情・クレーム対応にお客様相談室を設置し間接対応していたプロセスを改め、電話や口頭での苦情・クレームを受けた社員の誰でもが対応する直接対応としたことで、顧客の不満を増大させる危険性を回避し、処理のスピード向上、苦情・クレームのデータベース化などを図っており、自らの顧客を自分たちで守り価値を提供することを全社員が推進している。これにより、顧客からの苦情・クレームが減少し、全社員・派遣社員の会社を自分たちのものとする意識と改革意欲が出てきており、すでに「一流社員」としての片鱗が見えてきている。

2007年2月13日
岩手県経営品質賞委員会
委員長 阿部 健

2006年度 ベーシックアワード
(有)工藤商事 ホームインステッド事業部

<表彰理由>

有限会社工藤商事ホームインステッド事業部は、2006年(平成18年)6月に岩手県の盛岡市北部、滝沢村、雫石町を市場とした、高齢者向け生活支援サービスを行う事業として営業を開始した。当事業部は40年近くダスキン清掃用品レンタルビジネスを行っている有限会社工藤商事の新規事業として、株式会社ダスキン「ホームインステッド事業」と全国フランチャイズ契約を締結して、介護保険を使用しない自費でのサービスを要望するお客様を対象に、「急なお困りごと」や「身の回りのお世話」「家事のお手伝い」「身体介護を含めた家族介護の代行」等のサービスを行っている。

現在、岩手県内では紹介業者の仲介を経て直接雇用契約を結ぶ「家政婦サービス」と居宅介護訪問事業所の介護保険認定までの間の「介護サービス」が、同じようなサービスであるが、当事業部のサービスには24時間365日いつでも自由にサービスを使用できる環境と利便性があり、ご高齢者のお客さま一人一人の「わがまま、気まま」に応えていくために、お客様の声に耳を傾け、思いを共有するサービスとして「コンパニオンシップ」がサービスの基本精神となっている。特に当事業部価値観としてダスキン企業集団を創業した故・鈴木清一氏の教えである「祈りの経営」に学び「人生の目的」として「いかに多くの人に喜ばれ、いかに多くの人のお役に立つかということを日々の生活の中に生かしていくこと」が、人生の目的であり、生きがいであると考え、人間成長6つの原理として「祈りを深める」「感謝が出来る」「人の成長を助ける」「優秀性を追求する」「喜びの種をまく」「利益とともに発展する」を掲げている。

2005年度 岩手県経営品質賞
「審査員特別賞」 大規模部門
株式会社 川徳

<表彰理由>

株式会社川徳は、経営トップ二人の危機意識と情熱により、社内改革・意識改革への道を歩みだしており、適切な改革方法の確立に向けて後一歩のところに来ており、そこまで会社を引っ張ってきた経営トップの熱意と、トップとの売り場での直接の会話を通して応えてきた現場のやる気には目を見張るものがある。

今回の審査で高く評価された点は以下の通りである。

●社業建て直しに向けた企業体質変革への経営トップの並々ならぬ意欲とリーダーシップ

経営トップの情熱と意欲が、経営トップの毎日の売場巡視で現れ、現場もそれに呼応して、経営トップと現場とのコミュニケーションが巧く回り始めている。そこには、正規社員・パートナー社員の区別無く、会社のために接客品質を向上しようと、楽しく前向きに改善活動を行っている姿があり、社員の意欲は大きく向上している。

●現場での接客品質向上活動と売場ごとの自主的朝礼による社内意識改革の顕著な前進

社員意識調査においても、パートナー社員の81%強が「接客品質向上活動に積極的に参加している」、同じく91%強が「朝礼の内容が自分たちに伝わっている」を評価しており、社内の意識改革が進むと共に、顧客を含む外部からの評価も高まっている。

●地道な社会活動の継続と地域住民の生活感覚を認識したまちづくり活動の推進

手話・英会話対応社員、だれでも利用しやすいトイレ、キャップハンディ(障害者体験を通じてバイアフリーへの取り組み) など事業特性に合わせた様々な貢献活動を展開していると同時に、「盛岡市の市民生活がどのように変わればよいのか」の観点から、まちづくり協議会への参加、付近の商店街との共存共栄など、地域の生活を意識した地道なまちづくり活動を行っている。

2006年2月2日
岩手県経営品質賞委員会
委員長 酒井 俊巳

「審査員特別賞」 中小規模部門
久慈琥珀 株式会社

<表彰理由>

トップを中心とした経営幹部の優れたリーダーシップの下、経営品質プログラムの導入および独自のコンピテンシー評価制度の展開によって組織の活性化・組織基盤の強化を進めている。また、地域振興・文化発展を視野に入れた多彩な社会貢献活動にも優れた成果が認められる。

今回の審査で高く評価された点は以下の通りである。

●琥珀の本場となるビジョン実現への企業変革のリーダーシップ

10年後のビジョンとして「世界の琥珀の本場となる」ことを掲げ、会社の進むべき方向を明示して、その実現に向けた企業変革に優れたリーダーシップを発揮している。琥珀の持つ魅力を顧客に提供するために、海外でも実現していない原料採掘から販売、博物館、アフターサービスに至る一貫生産販売を行う独自戦略を設定し、経営品質プログラムの導入によって経営基盤の強化を計っている。

●コンピテンシー制度の導入など組織基盤整備による組織活力の向上

組織基盤強化のため、技術・知識・人格を磨くうえで、コンピテンシー評価制度が導入され、それが組織力を強める効果的なベースとなっている。この制度の下で社員は自分の役割・行動特性に応じた年間目標を「誓約書」として会社に提出し、問題点や達成度を社員同士がオープンな場で議論し評価し合うと共に、賞与や処遇にも反映されている。その結果は、社員のやる気を高め自主的な行動を導き出すことに結びついている。

●地域振興・文化発展を視野に入れた多彩な社会貢献活動の展開

琥珀を久慈市の魅力として観光客を誘致するため、文化会館、老人介護施設や駅前施設のデコレーションに独自の貢献活動を行っている。また、琥珀祭りや絵画展、出張琥珀手作り教室、講演会、詩の朗読会、ライブコンサートの開催、書籍「涙の琥珀のナゾ」の刊行、つつじの植樹など、市の文化発展や都市の美化など地域に密着した多彩な活動を行っている。

2006年2月2日
岩手県経営品質賞委員会
委員長 酒井 俊巳

2005年度 ベーシックアワード
花巻地方振興局

<表彰理由>

岩手県花巻地方振興局は、平成18年1月に新「花巻市」の誕生により約11万人の市民と良好なパートナーシップの関係のもと、独自の地域戦略を構築しており、「岩手県中部地域計画」の目指すビジョン「岩手県をリードする技術・文化・交流の拠点“はなきた”」の実現に向けて、振興局の職員の豊富なノウハウ活用と組織横断の企画担当者によるクロス・ファンクショナル・チームの設置により、従来の企業誘致等の外発型工場振興に変えて、産学官連携や企業の研究機関支援等の内発型支援を積極的に推進することで自立型産業支援の強化を目指すと共に、住民本位の行政と組織風土改革のより一層の推進を目指して組織プルフィールを完成させた。

徳清倉庫 株式会社

<表彰理由>

岩手県内を市場とする「倉庫市場」「不動産市場」に対して、倉庫・物流センター・配送センターおよび土地建物等の不動産ビジネス全体を提案する「物流不動産ビジネス」を展開しており、市場の成熟化の中で、東北地域の同業者とのネットワークを構築することで、顧客の多様なニーズに迅速に応えるサプライチェーン・マネジメント(SCM)の構築とインターネット利用による「イーソーコ東北」サイトを立ち上げ、東北6県の物流不動産のサブリース、マッチング、売買、物流コンサル等を目指しており、21世紀における物流不動産ビジネスに特化することで地域社会の活性化を目指している。

2004年度 岩手県経営品質賞・ベーシックアワード 表彰理由
「地方自治体部門」 最優秀賞
滝沢村役場

滝沢村は、自立した住民と共に「幸せ地域社会」を築き上げる使命に燃えた村長の就任と同時に「経営という視点から行政改革」を行ってきている。

市場原理の導入、小さな組織への変革、率直に聴くことなど多くの改善・改革活動の実践を行い、「47のくらしの最適化条件」「庁内横断型組織編成(CFT・Cross FunctionalTeam)「フラット化」「管理職職員投票制度」「産官学連携」などの仕組みの構築と運用を重ねてきています。その結果として財政力指数、公債費比率、地方債残高などの地方自治体の財政力を評価する主要指標は県内上位となっており、「人口5万人日本一の村」として堂々たる地位を築いてきており、組織価値観に沿った改革のための体系的な仕組みが導入され運営されていると認められます。

審査を通して認められた主な強みは次のとおりである。

○[中央集権化の法律や仕組みを地方から変えていく強い信念と情熱を持ったリーダーシップ]

「地方から日本を変える」という情熱に基づき、顧客である住民や共に地域を創造する村民のために、助役及び8名の全部門長とともに庁内の組織改革、財政改革、職員の活性化、地域住民との協働など次々とアイデアを繰り出し、改革を推進している。そのリーダーシップは力強さや政治性だけではなく、助役・全部門長をはじめ多くの職員からも支持され同意されており、庁内の活性化と改革への展開はなされ、すでに改革が始まっている。

○[顧客と共に地域を創る立場で策定した『幸せ地域社会』の目標と仕組み]

「日本一顧客に近い行政」として顧客と「共に地域を創る」ことを真剣に考え、顧客である住民のアンケートを取り、顧客のニーズを住民代表10名の策定パートナーや職員で分析し、「47のくらしの最適化条件」を策定するとともに、それぞれの達成目標を「自身が心身ともに元気に感じている人の割合」など44項目にわたり考案し、その5年後・10年後目標値を制定するなど、顧客である住民の意思を可能な限り反映し「幸せ地域社会」のあるべき姿を表し、住民をはじめとして顧客と共有している。
そのなかに補完性の原則や公民パートナーシップの考えかた「PPP(Public Private Partnership)」を盛り込み、住民主導から行政主導まで5段階の協働の形を取り入れた「幸せ地域社会」実現へのステップを表現しており、名実ともに住民と「共に幸せ地域社会を創る」ためのストーリーを形作っている。

○[管理職・職員に「率直に聴く」ことを求めた庁内活性化と改革への意気込み]

前例主義・縦割り組織が特徴の行政組織を「地方から変える」ことの必要性を強く認識し、「か・わ・り・ま・す」を行政規範として、「率直に聴く」ことを庁内に徹底し、改革の基本姿勢としており、組織のフラット化、課長補佐職廃止、係制廃止・収入役廃止などを推進することで、従来は決済だけが部下との接点であった部課長に、積極的に職員とダイアログすることの必要性とコーチ/アドバイザーとしての責務に目覚めさせ、風通しの良い自発的活動と、改革することに喜びを見出す職員の増加を図っている。

さらに、フラット化するなかで村長・助役と職員との間に立ち、改革の主導的役割を背負っている部課長を中核として20件以上にも及ぶ庁内横断型組織(CFT)を構成し、庁内の改革を組織横断的に推進しており、会計課の業務改善などいくつかの改革の成果が現れ始めている。

○[共に地域を創るための地域の大学や自治会との緊密な協働の仕組み]

「共に地域を創る」パートナーであり、顧客でもある大学や民間企業、またNPOや自治会・住民組織との協働の姿勢を強く打ち出しており、例えば岩手大学・岩手県立大学などとの共同研究・連携による地域創造を促進している。

特に、現在最も注目されている「次世代情報サービス提供プログラム」に関しては、岩手県立大学、企業と共同で開発研究が始まっており、積極的な姿勢と情報システム分野での先進性が高く評価された。

また、主要なパートナーと位置づけている自治会とは特に緊密な連携を打ち出しており、従来要求する側と要求される側だったものを、自治会側の自発的な活動により「これからの自治会のあり方について」の提言書をまとめるでに至っている。

○[財政に大鉈をふるい、ともに地域を創るためのコスト最適化と健全化への努力]

「幸せ地域社会」を、最小のコストで創ることを考え、「ガックラ漬大方針」の言葉にも表れているように、財政に大鉈を振るう決意を示し、いくつかの役職制廃止、定年による自然減の不補充、「経営の視点」導入で収支の明確化、補助金の削減など大鉈を振るってきている。たとえば、敬老会の運営経費を削減するなかで自分たちで必要性を議論し、自分たちで意思決定していくことを奨励するなどの考えを打ち出し、無駄な経費の削減と必要な投資の厳選や支出を行っている。

その結果として、財政力指数、公債費比率、地方債残高などの地方自治体の財政力を評価する主要指標は県内でも上位となってきており、経常収支比率は目標を達成するなど安定した数値を表すまでになってきており、財政健全化の努力が実を結んできている。

2003年3月22日
岩手県経営品質賞委員会
委員長 西澤 潤一

「中小企業部門」 審査員特別賞
株式会社 中原商店

株式会社中原商店は、盛岡市の特産品である「盛岡冷麺」を全国販売すると同時に、韓国料理を提供するレストランとして「ぴょんぴょん舎」を創業し、順調な躍進を遂げてきたが、ここ数年、業界の競争環境の著しい変化により経営の革新を迫られる状況となった。そのような中、食の安全安心、健康志向、ヘルシーで大衆的な韓国家庭料理の創作、家族・グループが各々の世界で楽しめる個室食空間の演出などで競合他社との差別化を図ろうとしている。その実現のために中長期経営革新活動「中原商店トランスフォーメーション21(NT-21)」を策定し、社内の意志結集により企業構造変革を遂げようとの活動がはじまった段階と認められます。

●社員との対話を重視、ビジョン実現に向けた強いリーダーシップ

レストランの本質である「人間性の回復の場の提供」の実現こそが最大のお客様満足との経営トップの強い信念のもとに、7つの価値観

食文化を創造し場の力となる。
本物とは何かを追求し「物の世界と人の世界」の調和を構築する。
価値ある商品を創造し良心と共に提供する。
お客様満足を最優先に最新の気配り気働きをもってお迎えする
国際的視野に立ち異文化融合の小さな地球を創造し「食と空間」を提供する。
社員の幸福と会社の利益とを一致させる。
地域社会の一員として法令遵守し、環境の保全に心がける。

企業理念・経営目標・行動基準を制定して、これを浸透させるために社長はじめ経営幹部自らが現場に足を運び、積極的に社員とのコミュニケーションを行うことで、自由にものが言い合える社風を築き上げている。

●全員参加の企業構造改革推進に向けた経営層の率先垂範

経営目標である「盛岡冷麺を通して味・接客サービス・食空間において日本一の店」実現を目指した企業構造改革に向け、2004年10月に中長期経営革新活動を「中原商店トランスフォーメーション21(NT-21)」として掲げるとともに、その推進のために経営層が率先して経営品質の本質を学習し、社員を巻き込んだ経営体質の改善に取り組んでいる。

●地域活性化におけるリーダーシップの発揮

ぴょんぴょん舎オープン以来、経営トップ自らが地域産業の発展振興を目指し、地元の関心事と利益に根ざした着実な活動を展開して地域への模範を示している。特に、障害者雇用の重要性を深く認識した創業時からの継続雇用に対し、岩手県および厚生労働大臣から身障者雇用優良法人として表彰されている。また、環境汚染対策の一環として創生水を使用することで洗剤を使わないレストランを実現しており、河川の汚染防止に貢献している。

2003年3月22日
岩手県経営品質賞委員会
委員長 西澤 潤一

株式会社 平金商店

<表彰理由>

「オフィスで働く人々が快適に効率よく働ける環境を創造すること」「お客様の抱える問題を我々の経験や創造力で解決すること」を顧客価値創造として掲げ、岩手県を中心として、文具・事務用機械・オフィス家具等の販売を行うと共に、盛岡市内ではショップブランドも定着している「パステル館」で文具の店舗販売も行っている。特に、他県同業者やメーカー直販や入札、国際入札等で、競争環境の激化する中、顧客が良い製品を選択していただくことが最終的には顧客の利益に繋がり、地球環境にも優しい購買の仕方であるとの考えで製品とサービスの販売を行っている、今後も経営信条である「誠実」「奉仕」「真理」を追求することで、21世紀の生き残りを目指して、組織プロフィールを完成させた。

株式会社 あさ開 東京支店

<表彰理由>

東京営業所を昭和50年に開設して以来、卸問屋を通して酒販店、百貨店、スーパーマーケット、量販店、コンビニエンスストアーなどからお客様に清酒の販売を行うと同時に、業務用酒販店から飲食店を通してお客様に清酒を届けている。

消費の低迷、ライフスタイルの変化、酒類免許の実質自由化など激しく変化する市場の中、経営理念である「すべてのお客様の食の場における「喜び」「楽しみ」「くつろぎ」に貢献いします」の実現に向けて、日本酒イベントや百貨店の試飲即売会を行うことでお客様からの要望をお聞きすると共に、イントラネット上で全社員に公開し、情報を共有することで新商品の開発と商品ブランドの構築を行い、お客様に満足をいただいている、東京支店の精鋭5名の社員の総力で組織プロフィールを完成させた。

株式会社 あさ開 GS本部(ステラ・モンテ)

<表彰理由>

多国籍料理レストラン「ステラモンテ」は、盛岡初となるブルーワイナリー併設の地ビールレストランとして1999年10月にオープンし、総合方針である「お客様とのコミュニケーション日本一のレストランを目指す」を掲げ、「INFORMATION」「COMMUNICATION」「EDUCATION」の年度方針の実現に向けて、タイ料理、中華料理、イタリア料理をはじめ世界12ケ国の多国籍料理を楽しみながらリラックスできるお店を目指して、ファミリーから年配者の方々と客層も幅広くすることで、すべてのお客様に満足していただけるよう、あさ開の経営理念である「すべてのお客様の食の場における喜び、楽しみ、くつろぎ」の場を提供すると共に、日本酒の新しい飲み方の提案として、日本酒に合う料理の提供を続けることで、21世紀の勝ち組みを目指して、顧客視点でリーダーシップを発揮することで、ゲストサービス本部の組織プロフィールを完成させた。

2003年度 岩手県経営品質賞

2004年3月22月、岩手県経営品質賞委員会(委員長 西澤潤一岩手県立大学学長)が開催され、「2003年度岩手県経営品質賞審査員特別賞」が株式会社水清建設に授賞することが決定されました。同日、盛岡商工会議所で記者会見をし、西澤委員長より受賞企業の発表と説明がありました。
また、今年度新設された「岩手県経営品質賞ベーシックアワード」は、下記の4事業所が受賞しました。

中小企業部門 審査員特別賞
株式会社 水清建設

<審査員特別賞表彰理由>

今後の公共工事を取り巻く経営環境が一層厳しさを増すとの認識から企業革新を強く意識したリーダーシップのもと、組織能力の基盤を社員の技術的能力に置き、特殊工法を強みとして既存事業での競争優位性を確保する一方で、民間建築分野の新規事業を立ち上げるという事業変革を推進しており、各事業において新たな顧客価値創造を図っている点が評価されました。よってここに、審査員特別賞に決定いたします。

下記が審査における主な評価点であります。

経営トップの明確な経営理念と危機意識に基づく価値経営と革新を志向した強いリーダーシップ。
既存事業に加え新規事業による市場創造という明確な戦略の構築と、その実現に向けた事業変革体制の構築。
プロセス改善と工事品質で優位性と顧客満足の向上を実現するための、社員の技術力向上による優れた施工管理技術基盤の構築。
顧客評価につながっている数々の社会貢献活動への取り組み。
財務結果とその分析からの気づきを、環境変化に対応した組織変革につなげている点。
株式会社 東日本機電開発

<ベーシックアワード表彰理由>

北東北3県における風水力機械を使用する施設を主要市場とし、経営理念として「社会的共通資本の充実に貢献し、住み良い環境作りを目指し」「関係する全ての企業の繁栄と安定を目指し」「社員の成長と幸福を追求する」の3項目を揚げ、行動指針である「社是」のもと、経営基本方針として「お客様第一主義」「全員参加型の経営」「無借金経営」「品質サービスナンバーワン」を揚げることで、31名の全社員の総力を結集し、地域経済低迷の中、21世紀勝ち組みとなるべく顧客視点での経営の強化と展開のためリーダーシップの強化策として自社の組織プロフィールを完成させた。

滝沢村

<ベーシックアワード表彰理由>

岩手県の中心部に位置し、町村では日本一の人口である滝沢村の村民5万2千500人に対し、「自立した住民」の支援者としての新しい自治、行政組織として、「幸せ地域社会」の実現をめざす経営理念のもと、職員を財産と位置づけ「滝沢村“人材”育成基本方針」を策定し、「日本一顧客に近い行政活動への挑戦『私たちは、か・わ・り・ま・す』」との行動指針を掲げている。また経営基本方針として「確たる経営志心を持って地域価値の創造に取り組む」のもと、「聴く心を持つ人間」「学ぶ姿勢を持つ職員」「変革へ勇気を持つ組織」「人々と共に誇れる気持ちを持つ経営体」を掲げることで、362名の全職員の総力を結集し、「新しい公共経営」を実現するための「小さくて優れた行政組織」を目指すと共に、21世紀の日本におけるベストプラクティス行政組織として行政品質向上の推進・強化・発展のため組織プロフィールを完成させた。

株式会社 アート不動産

<ベーシックアワード表彰理由>

盛岡市内と滝沢村、矢巾町、紫波町を中心とした、不動産の賃貸仲介、売買仲介、管理業務、リフォーム、資産活用、賃貸業務を行っている、従業員38名の不動産会社であり、「一度ご利用いただいたお客様からご紹介を頂けるような仕事をする」ことを経営方針として18項目の共通価値観および創業時に作成した創業の心14条と「社風が人を育て、人が仕事にやりがいを見つければ120%の力を発揮する」との経営認識のもと、自社の組織プロフィールを完成させている。

株式会社 中原商店

<ベーシックアワード表彰理由>

盛岡市内を中心とした6店舗の冷麺・焼肉等のレストラン経営で地元の顧客と評判を聞いて訪ねてくる観光団体客や北東北の近隣顧客を対象に、八戸まで延長された新幹線利用の観光客の増加に期待し、その要求に応えるべくメニューの品揃いと味と素材に対するこだわり、空間演出で、店舗展開を図っている、また食品・レストランを含め県内の全産業景気低迷の中、21世紀勝ち組みとなるべく顧客視点での経営の強化と展開のためリーダーシップの強化策として自社の組織プロフィールを完成させた。